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〈食と美と健康〉緑茶に含まれるミネラル:ミネラルの効用

お茶の効能を評価するには、お茶に含まれる成分が、どのような健康保持に役立っているかを問うことが多い。代表的な成分は、カフェイン、カテキン、テアニン、ビタミンなどであるが、お茶にはミネラルも含まれており、少し触れてみたい。

茶葉中には数%のミネラルが含まれ、カリウム、マンガン、リン、カルシウム、亜鉛、マグネシウムなどで、その内約3分の2が熱水で浸出される。煎茶よりも玉露と抹茶でミネラルの含有量が多く、また、葉の生育とともに変化する。若い芽にはカリウムやリン酸が多く、一方、成長につれてアルミニウムやカルシウム、フッ素が多くなる。中でも代表的な成分はカリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・ナトリウムである。ただし、お茶の淹れ方により、どれ位浸出されるか、また、どの程度消化管から吸収されるかについては、不明な点も多い。そこで、一般的なミネラルとその役割について概略する。

もっとも含有量の多い成分がカリウムです。カリウムは体内の細胞の浸透圧を調整する働きがあり、生命維持に重要な役割を果たしています。加えて、カリウムはナトリウムとともに、神経や筋肉の働きを正常に保つ作用があります。カリウムにはナトリウムを体外に排出する働きがあるので、両者をバランスよく摂取することが望ましいのです。カリウムに次いで日本茶に多く含まれるのが、カルシウムです。カルシウムは、私たちの体内にもっとも多く存在するミネラルで、骨や歯を作るために欠かせない栄養素です。細胞の分裂や分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制など、幅広い作用があります。また、マグネシウムやリンも骨や歯を作るために必要な栄養素です。虫歯の予防には緑茶中のフッ化物が有効であるという報告もあります。

また、緑茶中の微量必須元素については、体内の有害な活性酸素の無毒化に関与する酵素SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)の構成成分として亜鉛、銅(Zn,Cu-SOD)、マンガン(Mn-SOD)が、また、有害過酸化脂質の分解に関与するグルタチオンペルオキシダーゼにはセレンが含まれており、これら亜鉛、銅、セレンは比較的茶葉中に多く含まれているので、お茶は抗酸化微量ミネラルの供給源としての役割があると思われます。一方、茶カテキンなどが鉄の吸収を阻害するといわれますが、お茶の飲用程度では影響しないとも言われています。

これまであまり気にはしていなかったお茶の微量ミネラルも、体の代謝調節に関与している可能性があり、美味しくいただきたいものです。

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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