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〈食と美と健康〉緑茶の虫歯予防(抗う蝕)・抗歯周病作用       

コロナ禍のなか、虫歯の方が増えているそうです。歯の痛みは我慢しがたいものなので、なるべく虫歯にならないようにしたいものです。お茶の効能に関しては多くの研究成果が示されてきましたが、飲んだ時の最初の接点である口腔内の疾患である虫歯と歯周病との関連について紹介します。

虫歯(う蝕)は、口腔内の種々の常在微生物(主原因菌はミュータンス菌)が歯の表面に付着し繁殖し、まず、歯垢(プラーク)ができます。この歯垢の中で繁殖した微生物により有機酸が生成され、この酸により歯のエナメル質が腐食される。これが虫歯である。虫歯の予防には、ミュータンス菌がつくり出す酸を抑えることが重要です。茶カテキンには、強い抗菌作用があります。カテキンは、菌の増殖を抑え、プラーク形成も抑制するため、虫歯予防に効果的です。これは、カテキンが細菌のタンパク質(細胞膜)に吸着し、その活動や増殖を抑えるか、または細胞膜そのものを破壊するためだと考えられています。また、カテキンの虫歯予防効果として考えられるのが、歯垢の付着抑制です。歯垢はミュータンス菌を含む雑菌や食べかすなどの集まりなので、歯垢が付きにくくなれば虫歯の予防になります。さらにカテキンは歯垢をつくる酵素の働きを阻害する効果もあります。ミュータンス菌が歯のエナメル質を溶かすときには酸を利用しますが、カテキンの作用によってその酸の産生を抑えることができます。これにより、緑茶を飲むと歯垢が作られにくくなるのです。

歯周病とは、歯と歯茎との隙間に歯垢が蓄積し、細菌が繁殖して炎症を引き起こし、歯茎が退行していく疾病です。特に中高年齢域になって発症することが殆どで、この予防・治療は老後の健全な食生活を営む上で重要な問題です。歯周炎部位に多く見いだされる細菌の菌株を用いて、茶カテキンによる増殖抑制効果を検討した結果、エピガロカテキンガレートに最も強い増殖抑制効果がありました。このことは、茶カテキンが歯周病菌の増殖と付着を抑制し、グルカン合成酵素活性(ショ糖などから歯垢のもとになるグルカンの合成酵素)を阻害して強い歯周病予防効果を持つことを示唆しています。

以上、緑茶に多く含まれるカテキンは、口腔疾患に対して良い効果をもたらしますが、同じ茶葉から作られるウーロン茶にも、強い抗菌作用のあることが研究されており、虫歯予防効果があります。お茶を日常茶飯として愛飲し、常に口腔内を健全に保ちたいですね。

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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