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〈食と美と健康〉トマトはブレインフード?:リコピン                      

 緑茶に含まれる茶カテキンやテアニンは、脳の老化を防止し、認知症予防の効果を持つことを先に紹介しました。今回も引き続き、ブレインフードについて解説します。なぜなら、高齢化やストレスにより、脳機能の低下を反映した様々な社会問題が生じており、また、コロナ禍においてストレス発散の機会を失い、うつ状態の方が増えているからです。何とか食の面からの改善ができればと思い、今回は、真っ赤なトマトを取り上げます。

リコピンとは

 トマトには、βカロテンやリコピンなどの天然色素カロテノイドが豊富に含まれています。リコピンとは、トマトやすいかに多く含まれている赤色の天然色素です。これらには老化や生活習慣病の原因となる活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があり、動脈硬化予防やがん予防の効果が期待されます。特にリコピンの抗酸化作用は、ニンジンやカボチャ、ブロッコリーなどに含まれるβカロテンよりも2倍ほど作用が強く優れています。

生活習慣病予防

 糖尿病では過剰に糖が増えることで活性酸素が発生し、血管が傷つくことで様々な合併症につながるといわれていますが、リコピンの抗酸化作用により予防の効果が期待されます。強力な抗酸化作用を持ち、悪玉(LDL)コレステロールの酸化を防ぐことから、血流を改善する効果や、生活習慣病を予防する効果も期待されています。

トマトはブレインフーズ?

 動物実験によると、リコピンは脳細胞の生存と維持を促進する効果があり、また、脳の炎症性損傷を軽減させることが知られています。また、研究文献をくまなく調べ、信頼度の高い情報としてのシステマティック・レビューによると、認知力を保持している人は、より多くのリコピンを摂取していたことが報告されています。リコピンと呼ばれる効果絶大な抗酸化物質が含まれているトマトを利用したサラダを、毎日摂取することにより、現在、お年寄りに不安を与えている認知症やアルツハイマー病の予防が期待されるなら、積極的に食べたいものです。その際、リコピンは油に溶けやすいため、オリーブオイルをちょっと垂らすだけでリコピンの吸収力が大幅に増加します。イタリア料理には、トマトにオリーブオイルを合わせるカプレーゼなど、おいしく食べる調理法がたくさんあり、理にかなっていると思われます。 

〈2021年10月 / 茶柱コラムより :旧竹沢製茶HPに掲載分〉

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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