〈食と美と健康〉お茶は脳を元気にするブレインフード
最近、ブレインフード(~フーズ)という言葉を耳にすることがありませんか。脳にとって良い食物や食品成分、認知症や頭に良いといわれる食品が色々と宣伝されています。脳にとって良い食べ物とは何でしょうか。まず、食べ物の主要な栄養成分はタンパク質、炭水化物(糖質)、脂質、ビタミン、ミネラルですが、これらは、すべて脳にとって重要な成分です。それ故、すべての食材はブレインフードともいえますが、一体、ブレインフードとは何でしょうか。
ブレインフードとは?
一口で言えば、脳の老化防止や脳機能の改善に役立つ食べ物といえます。脳は歳を取るに従って機能が衰えていきますが、一方、年齢に関係なく私たちの身の回りには、脳機能の低下を促進させる原因が溢れています。米国ワイルコーネル医科大のリサ・モスコーニ准教授によると、脳の活性化には「神経系」及び「記憶系」の2つの方法があり、それぞれの活性化に有効な食事成分があり、それを含む食品「ブレインフード」を摂ることによって、脳の血流改善、脳の抗酸化、神経伝達物質の増加、脳機能改善をもたらし、記憶力の低下を防いだり、神経の伝達を早めたりするそうです。
お茶はブレインフードだ!
緑茶には、カテキンという渋み成分や、テアニンといううまみ成分が含まれており、これらには、脳の老化を予防する効果のあることが分かっています。体の中で過剰に生産される活性酸素は酸化障害を引き起こし、その蓄積が老化の一因になっていると考えられています。茶カテキンは強い抗酸化作用を示すことから、ラットに茶カテキンを毎日飲ませたところ、活性酸素による酸化障害が減り、加齢に伴って認められる脳の萎縮や学習・記憶能の低下も抑えられることがわかりました。
また、テアニンは、以前にも述べたように、脳に取り込まれ、脳内神経伝達物質の放出に影響を与え、記憶・学習能の改善に関わり、また、自律神経活動の変化を介してリラクゼーションにも影響します。また、ストレスによる寿命の短縮や脳の老化の促進が抑えられます。美味しいお茶を毎日飲むことにより、知らないうちにストレスに打ち勝つ力も身につくと思われます。また、カフェインは脳機能の改善に関わっています。このように緑茶に含まれるカフェイン、カテキンやテアニンは、脳の老化を防止することにより、認知症予防の効果を持つので、ブレインフードといえます。
最近、物忘れが多くなったとか、顔は思い出すけれど名前が出てこないなどと感じている方は、食生活を充実させるとともに、緑茶の飲用をお勧めします。
〈2021年7月 / 茶柱コラムより :旧竹沢製茶HPに掲載分〉
静岡県立大学名誉教授
農学博士 横越英彦 著
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