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茶柱コラム

〈食と美と健康〉竹茶について:松竹梅で縁起が良い

 皆さん、竹のイメージはどんなでしょう? 松竹梅は、お祝い事やめでたい兆し事の象徴として使われてきました。これは、中国の「歳寒三友」が由来ともいわれています。「歳寒三友」とは、画題の一つで、松と竹は冬期に緑を保ち、梅は花を開くことから、こう呼ばれています。これが、吉祥の象徴とされるようになったのは、松が常緑で不老長寿につながるとして平安時代から、竹は室町時代から、冬に花を咲かせる梅が江戸時代からの様です。

 コロナ禍の拡大で、散歩もままならない状況下ですが、竹林の中、胸いっぱい空気を吸い込み、ゆっくり散歩がしたいものですね。竹林(里山)を形成するのは、マダケ、ハチク、モウソウチクがほとんどです。モウソウチクのタケノコは保存性が高く、経済的にも有利であるため、最も多く利用されています。このモウソウチクは十八世紀に中国からの帰化植物で、タケノコをとるため、西日本を中心として広く栽培されてきました。しかし、輸入物が増え、国内の竹林はそれほど必要とされなくなったり、また、バブル期のリゾート開発や宅地開発などにより、竹林面積は減少したと考えられていたが、実際にはその繁殖力から少しずつ面積を広げ、日本の竹林の約三分の二をモウソウチクが占めるまでになりました。このことは、日本の里山の生態系の破壊につながり、危惧されています。タケノコの時期を過ぎた竹は堅くて扱いにくく、食材には使われてきませんでした。それが近ごろ、生竹を粉砕したパウダーや竹炭、竹酢などを利用したクッキーやパンなどが人気の様です。今回は、その中で、竹茶について取り上げます。

 多くの植物には薬効があり、竹にも何か効能がありそうですね。あの可愛いパンダは主に竹(笹)を主食としています。私達人間はタケノコを、おいしく食べていますね。昔から、里山での仕事の合間や、来客があった時には、近くに自生している竹の葉をちぎって、焦げないように軽く炙ってから煎じて飲んでいたらしいです。この竹茶は、葉の甘い香りが漂ったことと思われます。

 中国太古(217年頃)の中国最古の薬物書である「神農本草経」(しんのうほんぞうきょう)には、竹は、竹茹(ちくじょ)、竹葉(ちくよう)、竹瀝(ちくじょ)、竹黄(ちくおう)からなる薬草と記されています。効能としては、血液やリンパの流れを良くし、生活習慣病、アトピー性皮膚炎やアレルギーに効きそうです。中国では竹のエキスは万病に効く漢方として重宝されてきた歴史があります。

 竹の皮でおにぎりを包み、竹筒に竹茶を入れ、竹の香りとまろやかな甘みを楽しむ贅沢があったら楽しそうですね。

〈2021年2月 / 茶柱コラムより :旧竹沢製茶HPに掲載分〉

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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