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茶柱コラム

〈食と美と健康〉お茶の勧め:巣篭りの今にホッと一息                      

おいしいお茶は心の安らぎ

 よくお茶を飲むとホッとすると言いますね。それは、お茶を飲むゆとりの一時を持ったことによるのかもしれませんが、お茶の成分が、脳神経に影響を及ぼした結果ではないかと私は考えました。そして、緑茶特有のアミノ酸であるテアニンに、リラックス作用のあることを明らかにしたので、今回は、このテアニンの効能を紹介することにします。

 新茶や玉露は本当においしいですよね。淡い緑色と甘い香り、そしていろいろな緑茶成分が複合的に働いてお茶の旨さを出しているんですね。中でも、お茶の旨味成分として知られているのがテアニンです。緑茶に含まれるアミノ酸の中で量的に最も多いのがテアニンで、これは、上等なお茶に多く含まれることから緑茶の旨味成分と考えられています。テアニンは、脳で重要な働きをしている神経伝達物質の一つのグルタミン酸と化学構造が似ているので、テアニンも脳で何か作用をしているかもしれないと推測されました。

テアニンは脳にも影響

 テアニンは腸から吸収され、血流にのり脳にも取り込まれることが、動物実験で分かりました。脳で重要な働きをしているドーパミンやセロトニンなどにも影響することがわかったのです。その結果として、高血圧ラットでは血圧低下作用があり、また、いろいろな記憶・学習試験でも改善効果がありました。ヒトがテアニン水を飲むと30分ほどして、副交感神経系の活性が増し、脳波の中で特にα波が増加したんです。α波はリラックスしたときに出るので、イライラするようなとき、おいしいお茶を飲むとホッとする、この安らぎはテアニンによるのかもしれないなと。そこで、実際にイライラしている人にテアニンを飲んでもらい、それが解消するかを調ました。

テアニンのストレス解消作用

 女性は生理になるとイライラするといわれます。すなわち、月経前には、イライラ、眠気、集中力の低下や、下腹部の痛み、頭痛、乳房の張りなど、全身にさまざまな不調が現れるのです。症状がひどい場合は、月経前症候群という病名までついているのです。精神的な不調は、リラックスさせることにより、かなり改善するのではないかと考え、先のテアニンを与える実験をしました。排卵期から月経までの約2週間、テアニン(200mg)、または、偽薬を飲んでもらい、この症状の診断に使われるアンケート調査を行いました。その結果、テアニンの摂取により、精神的にも身体的にも各種の不定愁訴の改善がみられたのです。

今、テアニンのリラクゼーションやストレス解消を利用したさまざまな商品が売られています。テアニンは緑茶にしか含まれない特有の成分であり、お茶に勝るものはないと私は思うのですが、どうでしょう。ストレスの多い巣篭り生活もお茶を飲むことで穏やかに過ごせたらいいですよね。

〈2020年7月 / 茶柱コラムより :旧竹沢製茶HPに掲載分〉

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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