気候変動と茶葉の未来:厳しい状況を乗り越え、高品質な茶葉を目指す
二月に夏日を計測した今年の暖冬、過去に例のないことだそうです。そうかと思えば急転直下真冬に逆戻りして身体がついていきません。早咲きで有名な伊豆の河津桜も一週間早く見頃を迎えましたが雨と寒に震え上がりました。今年の新茶はどんな予想がたつでしょうか。
種子島では例年より一週間程早く三月十五日頃早生の松寿が摘採可能との見立てで鹿児島本土も四月に入ればすぐに盛期を迎える可能性が高いようです。静岡も右に倣えになると思われますが、暖冬の春先に注意しなければならないのはやはり凍霜害による寒冷障害です。暖冬の年ほど寒の戻りが繰り返し影響が大きいことは過去の経験で明らかです。
昨年の酷暑の影響もあって繰り越し在庫が多い環境下、生産調整が必要との声もありますが、やはり一番の希望は良質な茶葉が適量採れることです。減反による調整とややミル芽での適期適採が求められます。在庫状況や物価高に対応する為に販売店がとっている茶葉原価の調整で相場はただでさえ下落が予想される為に上質な茶葉でなければ希望する相場にはなりえません。
肥料の高騰も頭の痛いところです。昨年はほぼ二倍に跳ね上がり、そのままの状態です。
昨年あった補助が今年は今のところ予定が無く、施肥を充分に行う生産家ほど悩ましい問題となっています。過不足の無い施肥を実施できるのは一〜二割かもしれません。生産も加工流通もどちらにしても今年が将来の為の大きな一年になるかもしれません。生産を中止する決断をせざるを得ない年になる可能性が高く、供給過多の現状が逆転する年が近く来るかもしれません。
どういう立ち位置で生き残っていくかですが、何を価値と認め、その価値をどう伝えていくかは永遠のテーマです。良質な茶期が来てくれることをまずは望みます。
代表取締役 竹澤重人