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〈食と美と健康〉お茶の多様性:寒い時期のお茶の楽しみ                    

 お正月の特別なお茶といえば、「大福茶」(おおぶくちゃ・おおふくちゃ)で「福茶」とも呼ばれます。前にも述べましたが、京都では正月の三が日に一年の幸福と無病息災を願って飲まれるそうです。梅干しや結び昆布を入れたお茶です。梅の木は寿命が長く、その実から作る梅干しは、シワシワになるまで元気に過ごせるようにとの縁起を担ぐ食材であり、また、昆布は、「喜ぶ」や「養老昆布(よろこぶ)」のごろ合わせで、長寿を願い祝う意味が込められています。また、結ぶことにより更にしっかりとさせる縁起の良い食材とされています。縁起ということだけでなく、昔から食べられてきた物には、何らかの意義があったと考えます。長年、栄養学を学んでくると食に対しては、それぞれ何らかの役割があっただろうと意義づけを考えてしまいます。

 最近の世界情勢を見ていると各地で戦争が起こっており、人道に反した行為が行われ、犠牲者数やそれに伴う死者数が平然と報道されています。また、人が直接関与していないこととしては、世界各地での大規模な山火事、火山の噴火、地震、大洪水、猛暑があったかと思えば大寒波が襲ってきています。得体のしれない難病、新型コロナウイルス感染症など、地球が明らかに怒っているように感じます。

 特に、寒いこの時期には、空気が乾燥してくると喉の乾燥とともに痛みや腫れが出てきて、風邪やインフルエンザに感染しやすくなります。今年は猛暑に見舞われましたし、寒暖差も大きく空気も乾燥しているので、特に注意が必要です。特にコロナウイルスやインフルエンザ等の感染症に罹らないようにするには、うがいや手洗いなどの感染を防ぐと同時に、体を守るための免疫力を高めておくことも必要かと思われます。それには、体を温め喉を潤して乾燥を防ぐことが望まれますが、福茶の飲用はそれに役立ちます。また、福茶は梅干しだけを食べた時とは異なり、お茶に入れることにより、酸味と塩気が薄らいださっぱりとした味になるので飲みやすくなります。少し味の濃いおせち料理を食べた後や口をさっぱりさせたいときには有効でしょう。暖房のきいた室内と戸外とでは相当の寒暖差があります。そういうときの自律神経系の乱れを癒すメリットがあります。

 私は、普段、食後のお茶に梅干しを入れることもありますが、焼酎のお湯割りの時に梅干しを入れ、あるいは梅酒を飲むときには、漬けた梅の実も入れて、梅の香りと甘さを楽しんでいます。塩気の少し効いたお茶を飲んで冬場を乗り切りましょう。

静岡県立大学名誉教授
農学博士  横越英彦   著

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